TikTok垢BANの原因と復活方法|異議申し立ての全手順【2026年秋・行政書士監修】
「アカウントは永久に停止されました」と表示された方へ
最初にお伝えします。出回っている「コピペ例文」を送るのは、まだ待ってください。
TikTokの垢BANは4つの段階に分かれており、どの段階にいるかで打つべき手がまったく違います。また、停止直後の数時間にしか取得できない記録があります。文章を書き始める前に、まず切り分けと証拠の保全です。すでに送ってしまった方は、再送を止めてご相談ください。
この記事は、TikTokが公表しているアカウント執行システムの説明[1]と、総務省が所管する情報流通プラットフォーム対処法の枠組み[2]という二つの一次情報を土台に構成しています。推測や体験談ではなく、公表されている根拠から順に説明します。
⏱ 先に結論|順番は「切り分け」→「証拠の保全」→「一度で最強の書面」
異議申し立ては、送った回数ではなく最初の一通に何が書かれているかで仕分けられます。内容を変えないままの再送には意味がありません。
そして、永久停止後は一定期間が経過すると個人データが削除されます。時間の経過とともに、手元に残せる証拠と選べる手段が減っていきます。だからこそ、書く前に保全する。この記事はその順番どおりに構成しています。
【24時間受付】停止通知の画面を見せていただければ、どの段階かをお伝えします
停止通知のスクリーンショットと、これまでに送った申し立て文をお送りください。どこで止まっているのか、次に何を足すべきかを確認します。
※ご相談内容は行政書士の守秘義務により厳守します。
まず切り分け|「垢BAN」と呼ばれる4つの状態
利用者の間では、アカウントが思うように使えなくなった状態をまとめて「垢BAN」と呼びます。ただ、TikTokの処分は重さの異なる複数の階層で構成されています。ここを混同したまま動くと、必要のない申し立てを送ったり、逆に手遅れになったりします。
図1|処分の4段階と、それぞれの対応方針
LEVEL 1
動画の削除+警告
特定の投稿だけが削除され、アカウントステータスに警告が表示されます。アカウント自体は使えるため軽視されがちですが、この警告は記録として積み上がります。
対応:心当たりがなければ、この段階で異議を申し立てて記録を消す。放置は同意と同じ扱いです。
LEVEL 2
機能制限・一時停止
投稿、コメント、LIVE、DMなど特定の機能が一定期間使えなくなります。期間はアカウントステータスに表示され、経過すれば自動的に解除されるのが通常です。
対応:解除を待ちつつ原因を特定して是正する。同じ機能で繰り返すと、次は永久停止の基準に触れます。
LEVEL 3(俗称)
いわゆるシャドウバン
ログインも投稿もできるのに、おすすめに載らず再生数が急落する状態を指す俗称です。TikTokが「処分」として通知するものではなく、推薦上の扱いの問題です。
対応:まずアカウントステータスに警告が出ていないか確認する。警告があるなら、それは Level 1 の問題です。
LEVEL 4
永久停止(垢BAN)
ログイン時に停止の通知が表示され、通常の利用ができなくなります。ただし停止直後の一定期間は、ログインして申し立てを送信したり、データをダウンロードしたりできる設計になっています。
対応:時間が経つほど選択肢が減ります。証拠保全を先に済ませ、内容を固めた申し立てを一度で出す。
最初にやるべき3つの確認
- アカウントステータスを開く。設定内のアカウント状態のページで、どのポリシーに、いつ、どの投稿が抵触したと判定されたのかを確認します。TikTokは執行の透明性を高める取り組みとして、利用者が自分のアカウント状況を確認できるページと、通報の状況を確認できるページを設けたことを公表しています[1]。
- 受信箱のシステム通知を遡る。停止の数日〜数週間前に警告の通知が届いていることが少なくありません。「突然」に見えて、実は予告があったケースです。
- 登録メールアドレスの受信箱を確認する。端末側で通知を消していても、メールには履歴が残っていることがあります。乗っ取りが絡む場合、ここに決定的な証拠が残っています。
💡 ここで特定すべきこと
「どのポリシーの、どの適用が、いつ行われたのか」——この3点が特定できているかどうかで、その後の申し立ての精度がまるで変わります。逆に、ここが空欄のまま書かれた申し立ては、審査側にとって検証のしようがありません。
処分のロジック|ストライク(違反点数)制
TikTokは2023年2月、アカウントに対する執行システムを刷新したことを公表しています[1]。この仕組みを理解しておくと、「なぜ今回だけ重い処分になったのか」「なぜ同じことをしている人が停止されないのか」が読み解けるようになります。
TikTok公式の説明(要旨)
コミュニティガイドラインに違反するコンテンツが削除されるたび、アカウントにストライク(違反点数)が加算される。コメントやLIVEといった機能別、あるいはいじめ・嫌がらせといったポリシー別に基準値が設けられ、いずれかで基準値を超えたアカウントは永久停止となる。基準値は違反が及ぼす危険性の度合いによって異なり、害の大きい類型ほど厳しく設定される。児童性的虐待の資料の掲示・助長、現実の暴力や拷問の描写、非合意の性的行為など重度の違反については、初期の段階で永久停止が行われる。ポリシーと機能の双方で累積点数が多いアカウントも永久停止の対象となる。ストライクは90日後にアカウントの記録から消去される。
あわせて、執行に対して異議を申し立て、それが有効と認められた場合にはストライクを削除する機能が提供される。
出典:TikTok Newsroom「最新のアカウント執行システムでTikTokクリエイターをサポート」(2023年2月2日)[1]/原文の趣旨を要約したものです。
図2|ストライク制のしくみ
ガイドライン違反としてコンテンツが削除される
↓
ストライクが1点加算される
↓
機能別/ポリシー別の基準値を超えたか
※基準値は違反の危険度によって異なる
|
超えていない 90日経過で記録から消去 |
超えた 永久停止(=垢BAN) |
【バイパス】重度の違反類型 → 積み上げを経ずに、初期段階で永久停止
【逆流】異議申し立てが認められれば → ストライクを削除
※ポリシーと機能の双方について累積点数が多いアカウントも、永久停止の対象とされています。
作成:リーリエ行政書士事務所(出典[1]の記載をもとに図式化)
ここから導かれる実務上の含意
① 「消える点数」と「消えない前歴」がある
ストライクは90日で消えます。同じ内容の投稿でも、3か月前に一度警告を受けているかどうかで処分の重さが変わり得ます。長く休んでから再開したアカウントが、再開直後に軽微な違反だけで停止されるのは考えにくい——という判断材料になります。
② 異議申し立てには「累積を軽くする」機能がある
公表内容によれば、異議が有効と認められればストライクは削除されます[1]。これはいま停止されていなくても、誤判定を放置しない意味があるということです。Level 1 の警告段階で申し立てて記録を消しておくことが、将来の停止処分を防ぐ最も確実な方法になります。
③ 「積み重ね」と「一発アウト」は別ルート
初回でも永久停止となる重大な違反類型が存在する以上、「今回が初めてなのだから軽い処分のはずだ」という前提は成り立ちません。逆に言えば、初回で永久停止になった場合、TikTok側は重大な類型に該当すると判断している可能性が高く、その判断の何が誤りなのかを正面から反証する必要があるということです。「初犯なので寛大に」という情状の訴えは、この構造では機能しません。
停止に至る主な経路|「何もしていない」の中身
ご相談で圧倒的に多いのは、心当たりがないまま処分を受けたケースです。「何もしていない」という感覚は、多くの場合、次のいずれかの経路で説明がつきます。
自動判定の誤検知
一次判定の多くは自動化されています。文脈を持たないまま画面上の要素だけを評価するため、以下のジャンルでは構造的に誤検知が起きやすくなります。
| ジャンル | 誤って評価されやすい要素 |
|---|---|
| 美容・スキンケア | 肌の露出、施術中の映像、ビフォーアフター表現 |
| フィットネス・ヨガ | ウェアの形状、寝転んだ姿勢、身体の一部の接写 |
| 医療・健康 | 効果効能に触れる表現、医療器具の映り込み、施術シーン |
| 料理・DIY | 刃物の接写、火の使用、血に見える色彩(トマト・ソースなど) |
| ゲーム実況 | 銃器・戦闘描写、流血表現 |
| 動物・ペット | しつけや治療の場面が虐待として拾われる |
| 投資・副業 | 収益画面の提示、金銭を扱う演出(詐欺類型として評価される) |
通報の集中
短期間に同一アカウントへ通報が集中すると、審査の入口に乗りやすくなります。動画が急に伸びた直後、コメント欄で対立が発生した直後、他のクリエイターと論争になった直後は、この経路が疑われます。通報が集中した心当たりがある場合、その事実自体が申し立ての材料になります。
楽曲・映像・画像の権利関係
アプリ内の公式音源以外を使った場合、他者の映像や画像を編集して使った場合、著作権に関するポリシーで処理されることがあります。この類型は「誤検知だ」という主張が通りにくく、権利の所在を示す資料があるかどうかで結果が分かれます。素材サイトの利用規約、購入履歴、自作であることを示す元データ——申し立ての前に手元にあるかを確認してください。
年齢・本人性に関する判定
年齢要件に疑いを持たれた場合、本人確認資料の提出が求められます。TikTokは総務省のヒアリングに対し、アカウント開設時に年齢の確認を実施していると回答しています[7]。裏を返せば資料を出せば解ける類型であり、復旧可能性は比較的高い部類です。
乗っ取り・なりすまし経由
第三者にログインされ、その第三者が行った投稿やDM送信が原因で停止に至るケースです。この場合、主張すべきことが二段階になります。
- 当該投稿は自分が行ったものではないこと
- 不正アクセスが実際に発生したこと(ログイン通知メール、パスワード変更通知、身に覚えのないメールアドレス変更の記録など)
通常の誤検知案件とは組み立てがまったく異なり、証拠の性質も違います。乗っ取りが疑われる場合は、次章の証拠保全を最優先で行ってください。
アカウントの紐付け
過去に停止されたアカウントと、端末情報や連絡先、決済情報が結びついていると判断されると、新しく作ったアカウントが連鎖的に停止されることがあります。「新しく作り直したのに、また止まった」という相談の多くはこの経路です。
LIVE配信特有の要因
LIVEはリアルタイムで判定されるため、アーカイブを見返して原因を特定することが困難です。背景の映り込み、視聴者からの読み上げコメント、コラボ相手の言動——自分がコントロールできない要素が処分理由になり得るのがLIVEの難しさです。配信の録画を自分側で保存しておく習慣が、そのまま防御になります。
停止直後の72時間|先にやるのは保全
永久停止後、一定期間が経過すると個人データが削除されます。つまり時間の経過とともに、手元に残せる証拠と選べる手段が減っていきます。焦って文章を書き始める前に、まず記録を確保してください。
図3|停止に気づいてからの72時間
気づいたら即
画面の証拠保全
停止通知の画面、アカウントステータス、受信箱のシステム通知を、日時が分かる状態でスクリーンショットに残します。後から取り直せません。撮り忘れて最も後悔されるのが、停止直後にしか表示されない通知文です。
同日中
データのダウンロード申請
停止後もログインできる期間内であれば、アカウントデータのダウンロードを申請できます。投稿履歴やログイン履歴が含まれるため、原因の特定にも、乗っ取りの立証にも使えます。申請から取得までに時間がかかるため、着手は早いほど有利です。
24時間以内
メールの確認と保全
登録メールアドレスの受信箱と迷惑メールフォルダを遡り、TikTokからの通知をすべて確認します。ログイン通知、パスワード変更、メールアドレス変更の記録は、乗っ取り案件では中核的な証拠になります。転送や印刷で、アカウント外にも控えを残してください。
24〜72時間
原因の特定と資料の収集
通知に示された処分理由をもとに、該当し得る投稿を絞り込みます。並行して、反証に使える資料——素材の購入履歴、許諾のやり取り、本人確認資料、撮影時の元データ——を集めます。ここが申し立ての質を決めます。
資料が揃ってから
異議申し立ての送信
資料が揃う前に見切り発車で送るのは得策ではありません。内容を変えないままの再送には意味がないため、一度目に最も強い構成で出すことが原則です。
保全しておくべき記録
- 停止通知の画面(全文が読める状態で)
- アカウントステータスの画面
- 受信箱のシステム通知(過去分も含めて)
- 登録メールに届いたTikTokからの通知一式
- 停止前の投稿一覧、フォロワー数、収益画面(事業影響の説明に使います)
- 心当たりのある投稿のURL・内容
- 乗っ取りが疑われる場合:見覚えのないログイン通知、変更通知の全文
「自分の申し立てのどこが問題か」を確認します
すでにご自身で申し立てをされた方は、以下の3点をお送りください。どの段階で止まっているのか、次に何を足すべきかをお伝えします。
- 停止通知、またはアカウントステータスのスクリーンショット
- これまでに送った申し立ての文面(覚えている範囲で結構です)
- 申し立ての回数と、返信が来るまでのおおよその時間
確認の結果、「これ以上の申し立てで状況が動く見込みは低い」と判断した場合は、その旨を正直にお伝えします。無理に依頼をお勧めすることはありません。
LINEで状況を相談する(無料)
専用フォームで詳しく伝える
⏰ 24時間受付 / 🔒 守秘義務遵守 / 💬 当日中にご返信
異議申し立ての設計|なぜ例文は通らないのか
ネット上には「そのまま使える例文」が大量に出回っています。しかし、同じ文面が大量に送信されている以上、それが定型的なものとして処理される可能性は当然に高まります。
より本質的な問題は、コピペ例文の多くが「違反していません、再確認してください」という否認と依頼だけで構成されていることです。そこには、審査側が判断を変えるための材料が一つも入っていません。判断を覆すには、覆すに足る新しい情報を渡す必要があります。
図4|通る異議申し立ての5層構造
1|対象の特定
ユーザー名/停止日時/通知の文言をそのまま引用する
2|争点の限定
どのポリシーのどの適用が誤りかを一点に絞る
3|事実の提示
投稿内容・撮影状況・素材の出所など、検証可能な事実
4|反証資料 ← 結果を分ける層
本人確認資料/許諾・購入履歴/ログイン通知
5|今後の対応
該当投稿の削除・表現の修正など、具体的な行動
コピペ例文は 1・3・4 が空欄のまま、「2 と 5 らしきもの」だけで構成されています。審査側に検証の手がかりが渡りません。
原則は「主張は短く、事実と資料を厚く」です。
書き方の対比
| 避けるべき書き方 | 機能する書き方 |
|---|---|
| 一切違反していません | 通知に示された「性的コンテンツ」の判断について、該当動画は◯月◯日投稿のスキンケア解説であり、露出は肩から上のみです |
| 誤BANだと思います | 自動判定において、洗顔時の映像が誤って評価された可能性があると考えます |
| フォロワーが◯万人おり生活がかかっています | 当該アカウントは事業用であり、停止により◯月◯日以降の受注業務が停止しています |
| 早く復活させてください | 人による再確認をお願いいたします。あわせて、該当動画については削除いたしました |
| (何度も同じ文面を再送) | (一度目に最も強い構成で出し、結果を待つ) |
感情的な訴えやフォロワー数・収益への影響を長く書き連ねることは、判断材料としては機能しません。事業影響は、書くとすれば「処分の重大性」を示す一要素として簡潔に添えるに留めます。
送信後、結果はアプリ内の通知やアカウントステータスに届きます。返信を待たずに同一内容を繰り返し送ることは避けてください。内容が変わっていない以上、判断が変わる理由がないうえ、処理を滞らせる要因にもなり得ます。
却下された場合の二回目の組み立て
一度目が却下されたとき、多くの方がより強い言葉で同じ主張を繰り返してしまいます。しかし変えるべきは語気ではなく、構成そのものです。
却下の通知に、判断の根拠が示されていることがあります。一度目より具体的な文言が返ってきているなら、それは前進です。どのポリシーが維持されたのかが分かれば、二回目はそのポリシーの適用範囲に的を絞れます。
二回目で変えるべき4点
- 争点を狭める。一度目で複数の点を主張していたなら、最も強い一点に絞る
- 新しい資料を足す。一度目になかった資料が入って初めて、再検討する理由が生まれます
- 事実の粒度を上げる。「問題のない内容です」ではなく、動画の秒数単位で何が映っているかを説明する
- 是正済みであることを示す。該当し得る投稿を自主的に削除した事実は、再発防止の意思として機能します
⚠️ 見極めも必要です
すべての停止が覆るわけではありません。実際に規約に抵触する投稿があった場合、覆すことは容易ではありません。二度、三度と却下が続く場合には、復旧に固執するより、事業の継続手段を並行して検討したほうが合理的な局面もあります。「復活率◯%」「確実に復活します」といった説明には根拠がないとお考えください。
法制度から見る|情報流通プラットフォーム対処法
ここからは、一般的なノウハウ記事ではあまり触れられない論点です。TikTokの処分は事業者の裁量だけで完結しているわけではなく、日本国内では法律上の枠組みが及んでいます。
そもそも情プラ法とは何を定めた法律か
起点は2001年(平成13年)に制定されたプロバイダ責任制限法です。ネット上の書き込みで誰かの権利が侵害されたとき、プラットフォーム事業者は板挟みになります。放置すれば被害者から「なぜ消さなかったのか」と損害賠償を問われ、削除すれば発信者から「なぜ消したのか」と責任を問われる。この二重の板挟みで事業者が身動きを取れなくなることを避けるため、一定の場合に事業者を免責する規定を置いたのが旧法でした。総務省も、この法律を「損害賠償責任が免責される要件を明確化する」ものと説明しています[2]。
つまり旧法は、その名のとおり「事業者の責任範囲を限定する」ための法律であって、利用者に何かを求めさせるための法律ではありませんでした。
2024年5月17日、この法律を改正する法律(令和6年法律第25号)が公布され、翌2025年4月1日に施行されるとともに、名称が「情報流通プラットフォーム対処法」に改められました[2]。旧法の制定当時と比べてSNSが生活に深く浸透する一方、削除申請への対応が遅い、なぜ削除されなかったのか理由が分からない——といった不満が蓄積したことが背景にあります。
この改正で新たに加わったのが第5章・第6章です。総務大臣が指定した大規模事業者に対し、①削除対応の迅速化と②運用状況の透明化に関する義務を課します(法20条1項ほか)[2]。
26条・27条は「削除される側」に向けられた規定
ここが本題です。①の迅速化(21〜25条)は、削除を申し出た被害者のための規律です。これに対して②の透明化のうち26条と27条は、削除される側=発信者に情報を渡すための規律にあたります。
図5|削除をめぐる三者関係と、条文が向いている先
|
被害者 削除してほしい人 |
プラットフォーム事業者 = TikTok Pte. Ltd. など |
発信者 = 垢BANされた側 |
| 削除申出 → ← 結果と理由の通知 |
→ 基準の公表・理由の通知 | |
|
21〜25条 = 削除対応の迅速化 |
旧法(2001年)は この板挟みを解く免責法だった |
26条・27条 = 運用状況の透明化 |
※垢BANされた側が足場にできるのは右側。ただし「削除するかどうか」の判断自体は、引き続き事業者に委ねられています。
作成:リーリエ行政書士事務所(総務省の資料[2]および法文[5]をもとに構成)
26条は「削除しなければならない」規定ではない
誤解されやすい点です。26条は、法令上の義務がある場合や、自ら定めて公表した基準に基づく場合に、送信防止措置を「行うことができる」と定める規定です。削除を義務づけるものではありません[5]。
裏返して読むと構造が見えます。基準を公表していない事業者が自主的に削除できるのは、条文上、次の3つの場合に限られます(26条1項各号)[5]。
- 自らが発信者であるとき
- 送信防止措置を講ずる法令上の義務があるとき
- 通常予測することができない緊急の必要があるとき
つまり基準を公表することが、自主的な削除を行うための前提条件になっているわけです。だからTikTokは基準を公表しており、私たちはそれを参照できます。総務省も、届け出られた各社の削除申出窓口と削除基準を一覧として公表しています[4]。総務省はこの26条の解釈について、専用のガイドラインを制定・公表しています[10]。
27条は「黙って消さない」ための規定
情報流通プラットフォーム対処法 第27条(発信者に対する通知等の措置)の要旨
大規模特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の流通について送信防止措置を講じたときは、一定の場合を除き、遅滞なく、その旨及びその理由を発信者に通知し、又は当該情報の発信者が容易に知り得る状態に置く措置を講じなければならない。
出典:特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成13年法律第137号)[5]/条文の趣旨を整理したものです。
26条が「何を削除し得るかを事前に示せ」という規律だとすれば、27条は「実際に消したら、その事実と理由を本人に伝えよ」という規律です。事後の説明責任にあたる部分で、条文は「送信防止措置を講じたとき」と定めており、削除の根拠が自社の基準か法令上の義務かを問わない書き方になっています[5]。
実務上、注目すべきは「容易に知り得る状態に置く措置」という選択肢が用意されている点です。TikTokのアカウントステータスやシステム通知の画面は、この措置を果たすための仕組みとして位置づけて読むことができます。つまりあの画面に表示されている文言は、単なる案内ではなく、法が求める「理由の提示」に相当し得るということです。だからこそ、この記事の冒頭で「通知の文言をそのまま控える」ことを最初の作業に置いています。
TikTokは指定事業者です
総務省は2025年(令和7年)4月30日付で、Google LLC、LINEヤフー株式会社、Meta Platforms, Inc.、X Corp. とともに、TikTok Pte. Ltd.(対象サービス:TikTok、TikTok Lite)を大規模特定電気通信役務提供者として指定しています[3]。その後、株式会社ドワンゴ、株式会社サイバーエージェント、株式会社カカクコム、Pinterest Europe Limited も追加指定されています[2]。TikTok自身も、情プラ法26条1項に基づく「送信防止措置の実施に関する基準」を定めて公表している旨を、日本向けの法務ページで明らかにしています[8]。
これを実務にどう使うか
ここまでを踏まえると、異議申し立ての骨格は次のように組めます。
- 27条に基づいて示された処分理由の文言を特定する
- 26条に基づいて公表されている削除基準の該当箇所を参照する
- 基準の定義と自分の投稿を突き合わせ、どの要件を満たしていないかを一つずつ示す
「違反していません」ではなく、「公表されている基準のこの定義に照らして、当該投稿はこの要件を欠いています」と書ける。これが、単なる否認との決定的な違いです。基準の文言を引きながら要件を潰していく作業は法律文書を組み立てるときの基本動作であり、行政書士が関与する意味が最も出る部分でもあります。
⚠️ 前提として押さえておくこと
情プラ法は、「どのような情報を削除すべきか」という表現内容に立ち入る判断を行政が行う仕組みにはなっていません。その判断は引き続きプラットフォーム事業者が自ら行うことが前提とされています[6]。したがって法律を持ち出せば復旧が保証されるわけではありません。使えるのはあくまで「公表された基準に照らして争う」という土俵であって、結論そのものではありません。
事業アカウント特有の論点
| 論点 | 注意すべきこと |
|---|---|
| 収益化・TikTok Shop | 停止はSNSの利用停止に留まらず、未払い報酬・在庫・進行中の注文・広告出稿にまで波及します。証拠保全に収益画面と受注状況を含めてください |
| 複数アカウント運用 | 同一の端末・回線・決済情報で運用していると、一つの停止が他へ波及する可能性があります。運用体制そのものがリスク要因です |
| 案件・契約への影響 | PR案件の受注中は納品不能を意味します。復旧作業と並行して、取引先への説明資料を整理しておくことをお勧めします |
| 広告アカウント | 別系統で管理されますが、審査の運用上は無関係ではありません。コンテンツ側の処分が広告側の審査にどう影響しているかも確認してください |
事態を悪化させる典型的な対応
やりがちですが、逆効果です
- すぐ新規アカウントを作る:端末情報や連絡先から紐付けられ、連鎖的に停止される可能性があります。まず現アカウントの復旧可否を確定させるのが順序です
- VPNやデバイス偽装で回避を試みる:規約上の問題を新たに生じさせるうえ、端末固有の識別情報までは変えられません
- 同じ文面を何度も再送する:判断材料が増えない以上、結果は変わりません
- 「確実に復活させる」と断言する業者に依頼する:判断権はプラットフォーム側にあります。結果を保証できる立場の者は存在しません
- アカウントを売買・譲渡して回避する:規約違反であることに加え、トラブルの当事者になるリスクを負います
- 非公式の「サポート窓口」に連絡する:ログイン情報や決済情報を詐取する目的のものが混在します。公式の窓口はアプリ内および公式フォームに集約されています[9]
- 放置する:一定期間の経過後、個人データが削除され、申し立ての手段そのものが失われます
復旧後にやるべき再発防止
復旧はゴールではありません。同じ経路で再び停止されれば、今度は累積の重みが加わります。
- 二要素認証を有効にする——乗っ取り経由の停止を防ぐ最も基本的な措置です
- ログイン端末を棚卸しする——過去に使った端末、退職した担当者の端末が残っていないか確認します
- 連携アプリを見直す——分析ツールや予約投稿ツールの権限を、必要最小限に絞ります
- 投稿前チェックの基準を作る——誤検知が起きやすい要素(露出、刃物、金銭、医療表現)を自社のチェックリストに落とし込みます
- コンテンツを自社側にも保存する——プラットフォーム上のデータだけに依存しない体制にします
- 他プラットフォームへの導線を用意する——単一のSNSに依存する構造そのものが、事業上のリスクです
- 警告を放置しない運用にする——Level 1 の段階で対処する習慣が、最終的に最も効きます
専門家に相談する判断基準と職域
以下に当てはまる場合は、自力での対応に固執せず、早い段階で状況を整理してもらうことをお勧めします。
- 収益化・事業用アカウントで、停止が直接的な損失に繋がっている
- 乗っ取りや不正アクセスが疑われ、事実関係の整理と立証が必要
- 一度目の異議申し立てが却下され、次に何を書くべきか分からない
- 著作権・肖像権など、権利関係の主張が絡んでいる
- 誹謗中傷や虚偽の通報が背景にあり、相手方への対応も視野に入っている
- 複数アカウントが連鎖的に停止され、原因の切り分けができない
⚖️ 当事務所の業務範囲について
行政書士が関与できるのは、事実関係の整理と、異議申し立てに用いる書面の作成支援の範囲です。相手方との交渉や、発信者情報の開示請求をはじめとする法律事務は、弁護士の職域にあたります。
当事務所では、どこまでを書面作成で対応でき、どこから弁護士に引き継ぐべきかの切り分けを含めてご説明しています。「まず何をすべきか分からない」段階でのご相談で構いません。
よくある質問(FAQ)
Q. 永久停止されたアカウントが復活することは本当にあるのですか?
A. あります。ただし復活するのは、主に自動判定の誤りが認められた場合や、資料の提出によって疑いが解消した場合です。実際に規約に抵触する投稿があった場合、覆すことは容易ではありません。復活率を数値で断言する説明には根拠がないとお考えください。
Q. 異議申し立てに期限はありますか?
A. 永久停止後、個人データが削除されるまでの一定期間はログインして申し立てが可能とされています。時間の経過とともに選択肢は狭まるため、早期の対応が有利です。なお、情プラ法25条の「原則7日以内の通知」は削除申出をした被害者側に対するものであり、停止された側の申し立て期限ではありません[6]。
Q. ストライクが消える90日を待てば復旧しますか?
A. ストライクの消去は、あくまで違反点数の記録に関するものです[1]。すでに永久停止の処分が下されている場合、待つことで自動的に解除されるわけではありません。90日の経過が意味を持つのは、警告や機能制限の段階にあるアカウントです。
Q. シャドウバンにも異議申し立てはできますか?
A. おすすめ表示上の扱いは、通知を伴う「処分」として明示されないことが多く、正面から争う対象になりにくい領域です。まずはアカウントステータス上に警告が出ていないかを確認し、該当する投稿があればそちらの是正から着手します。なおTikTokは、おすすめフィードで不適切と判定された動画の情報とその理由を提供する取り組みや、その判定への異議申し立て機能のテストについても公表しています[1]。
Q. 乗っ取られたアカウントが、乗っ取り犯の投稿で停止されました。
A. この場合は「自分の違反ではない」ことに加えて、不正アクセスが実際に発生したことを示す必要があります。見覚えのないログイン通知、パスワードやメールアドレスの変更通知が中核的な証拠になります。これらはメール側に残っていることが多いため、まず受信箱と迷惑メールフォルダを遡って保全してください。
Q. 新しいアカウントを作ったら、それもすぐ停止されました。
A. 端末情報や連絡先、決済情報を通じて、停止済みのアカウントと紐付けられている可能性があります。新規作成を繰り返すほど紐付けの材料が増えるため、いったん止めて、元のアカウントの復旧可否を確定させることをお勧めします。
Q. 心当たりの投稿を先に削除してしまいました。不利になりますか?
A. 削除自体が不利に働くとは限らず、むしろ是正の意思として説明できる場合があります。ただし、投稿内容を手元に残していないと「何が問題視されたのか」を検証できなくなります。今後は削除の前に、必ず画面と元データを保存してください。
Q. 削除の理由がまったく示されていないのですが。
A. 情プラ法27条は、指定事業者が送信防止措置を講じた場合、一定の場合を除き、その旨と理由を発信者に通知するか、発信者が容易に知り得る状態に置く措置を講じることを求めています[5]。アプリ内の通知やアカウントステータスの画面に情報が置かれていないか、まず確認してください。
Q. 収益化していた場合、未払いの報酬はどうなりますか?
A. 停止の理由や規約上の扱いによって結論が変わるため、一律にお答えできません。まず停止直前の収益画面と取引状況を保全したうえで、規約上の該当条項を確認する必要があります。金額が大きい場合は、復旧手続とは別に検討すべき論点です。
Q. 相談時に用意しておくものはありますか?
A. 停止通知のスクリーンショット、アカウントステータスの画面、停止前後の投稿内容、心当たりのある投稿のURL、乗っ取りが疑われる場合はログイン通知のメールをご用意ください。情報が揃っているほど、初回の申し立てで精度の高い書面を作成できます。
まとめ|争える構造はある。ただし順番を守ること
- 垢BANは4段階。どの段階かで打つ手が違う
- 処分は公表されたストライク制に基づく。90日で消える点数と、一発アウトの類型がある
- 文章を書く前に証拠を保全する。停止直後にしか取れない記録がある
- 同じ文面での再送はしない。一度目に最も強い構成で出す
- 日本では情プラ法26条・27条により、削除基準の公表と理由の通知が事業者に義務づけられている
- ただし法律を持ち出せば復旧が保証されるわけではない。判断権はプラットフォーム側にある
処分の段階を正しく切り分ける。証拠を保全する。通知に書かれた根拠を特定し、公表された基準と突き合わせる。そのうえで、検証可能な事実と資料で構成された書面を、一度で出す。出回っている例文をそのまま送る前に、この4つを踏んでください。
まずは、停止通知の画面をお見せください
通知の文言と、これまでの申し立て内容を拝見すれば、次に何をすべきかをお伝えできます。ご相談は無料・秘密厳守です。
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出典一覧
- TikTok Newsroom「最新のアカウント執行システム(違反アカウントへの対応システム)でTikTokクリエイターをサポート」2023年2月2日
https://newsroom.tiktok.com/ja-jp/support-creators-with-updated-account-enforcement-system - 総務省「インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/ihoyugai.html - 総務省 報道資料「情報流通プラットフォーム対処法第20条第1項に基づく大規模特定電気通信役務提供者の指定」令和7年4月30日
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000440.html - 総務省「情報流通プラットフォーム対処法第21条に基づき届け出られた削除申出窓口及び削除基準(一覧)」
https://www.soumu.go.jp/main_content/001031570.pdf - 法令「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(平成13年法律第137号)e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000137 - 総務省「大規模特定電気通信役務提供者の義務の履行状況に関する報告フォーム」(義務の概要)
https://houkoku.ihaho.jp/ - 総務省「SNS等における違法情報等への対応に関するヒアリングシート 回答フォーマット(TikTok Japan/TikTok)」
https://www.soumu.go.jp/main_content/001006822.pdf - TikTok「情報流通プラットフォーム対処法への対応」(送信防止措置の実施に関する基準)
https://www.tiktok.com/legal/page/global/information-distribution-platform-act-jp/ja - TikTok ヘルプセンター
https://support.tiktok.com/ja - 総務省「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第26条に関するガイドライン」(令和7年3月11日制定/令和8年8月改定)
https://www.soumu.go.jp/main_content/001032102.pdf
監修
リーリエ行政書士事務所
東京都行政書士会所属/登録番号 第22080418号/2022年行政書士登録
インターネット上のトラブルに関する書類作成を専門に取り扱う
行政書士として独立する前は、大手SIerの法務室にてSNS運用および大規模ITサービス運営に関する法務を担当。利用規約に基づく責任分界の整理や投稿文のリスク審査を、サービスを提供する事業者側の立場で経験しています。異議申立てが「どのような基準で読まれるか」を前提に書面を組み立てられるのは、この経験によるものです。
本記事の「処分の4段階」「通る異議申し立ての5層構造」に関する記述は、この審査側での実務と、日々のご相談対応において確認してきた内容に基づいています。法制度に関する記述は、末尾の出典一覧に掲げた一次資料によります。
SNSアカウントの乗っ取り・停止に関するご相談を、X(旧Twitter)を中心に幅広く承っています。
※取りうる手段は停止の状況やご登録情報によって異なり、復旧を保証するものではありません。
※当事務所の業務は、ご本人の意思に基づく書類の作成および発送の代行です。代理人としての交渉・裁判手続きは行いません。
※本記事の内容は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。プラットフォームの仕様・ポリシーおよび法令の運用は変更される場合があります。参照した各出典の最終確認日は2026年8月25日です。図はいずれも当事務所が各出典の記載内容をもとに作成したものであり、出典元が公表した図表ではありません。
公開日:2026年8月25日/最終更新日:2026年8月25日


